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自販機ビジネスの種類
自販機ビジネスの市場は、ざっと5兆円と言われます。
コンビニの市場規模が約10兆円と言われますから、いかに巨大な市場を形成しているかがわかります。
しかし、自販機ビジネスをしている方の声を聴くと「そんなに儲かるものじゃない」という声が多く、実際、月に数千円しか利益が出ていないという方が圧倒的。
不動産事業としてはあまりに収益性が低いため、自販機ビジネスについては初めから除外している地主さんも多いと思います。
しかし、よく考えてください。
この低金利時代に年間5万円の利息を受け取るには1千万円単位のお金を預金しておかなければなりません。
しかも自販機は畳1畳分もあれば設置できるのです。
所有する駐車場や賃貸アパートの一角に設置するだけで、数千万円の預金と同じだけの利益を稼ぎ出してくれるわけですから、決して侮ることはできません。
狭小地や、変形地でも設置可能となりますし、コインパーキングや、月極駐車場運営を取り入れながら、自販機による収益を上げる事も可能なのです。
しかも、立地とやり方によっては大きな収益性を稼ぎ出すことも可能であり、今まで遊休地であった土地が、実際、月に2万5000本を売り、300万円もの売り上げを上げている自販機も存在するそうです。
ではまず、自販機ビジネスの種類や設置方法を見ていきましょう。
土地のみを貸し出す
土地だけ貸す方法とは、自販機を設置するスペースのみを提供し、売り上げの一部を受け取る仕組み。
商品の補充や、空き缶の回収、機械のメンテナンスなどは一切設置会社が行い、地主さんは電気代のみを負担します。
大体、売り上げの20%程度が地主さんに入るので、そこから電気代を引いた額が利益となります。
地主さんは一切の手間がかからず、初期費用も必要ない(設置業者による)ため、多くの方がこの方式を選んでいます。
1か月の電気代は平均2000円程度なので、損益分岐点は2000円。
最悪でも2000円の赤字で済み、儲からなければ撤去してもらえば良いので、建物を建てた場合のようにいつまでも赤字を垂れ流す心配がないのも魅力です。
アパート建築や賃貸併用住宅などの賃貸経営の場合、空き家になってしまう事が非常に大きなリスクとなります。
大家さんとしては、空き家対策として、少しでも入居率を上げるために、入居者を集める工夫を取り入れる事が必要となります。
賃貸住宅は、相続税対策にはつながるかもしれませんが、自己資金が多くかかるため、失敗は許されないと言うデメリットがあります。
ですが、自販機であれば、そこまでリスクを抱える事はありません。
もちろん、設置しても赤字になるようでは、設置業者自体にもメリットがないため、市場調査を行い、立地に合ったプランを提案してくれるので、あまり心配はありません。
大体、月に200本~300本売れるケースが多いため、概ね月に4000円~6000円程度の“不労所得”を得る地主さんが多いようです。
自販機を買って自己運用
こちらは、自販機そのものを購入し、商品の仕入れや補充、空き缶等の回収、売上金の回収とお釣りの補充、自販機の管理メンテナンスなど、一切をオーナー自身が行う方法。
何をいくらで売るかはオーナーの自由なので、周辺に多くの自販機があるような場所でも差別化が可能であり、オーナーの商才が売り上げを大きく左右します。
仕入れが自由なので、ディスカウント品を探せば飲料1本50円程度のものがいくらでも見つかります。
これを100円で売れば50円の利益が生まれます。
もし、近くの自販機が同様の商品を120円で売っていたなら110円で売れば60円の利益が確保できる上、周辺の自販機客をがっぽり奪えます。
立地条件が良く、1日に100本の飲料販売が見込まれるなら、1本50円の利益でも月に15万円、年間180万円の利益になるわけです。
同じ立地で土地のみを貸した場合、月に6万円、年間72万円止まりですから、多少手間はかかっても、収入増加につながるため、自己運用に乗り出す価値は充分あると言えるでしょう。
このように、安く仕入れて、競争力のある価格で販売できるのが、自己運用の最大の魅力です。
もちろん、自己運用の場合には留意点もあります。
まず、自販機の購入費用や設置費用が発生します。
自販機は大体70万円程度するのが普通で、大きさや機能によってはもっと高くなります。
また、故障やトラブルへの対応はオーナーさん自身が行わなければならないので、いざという時のメンテナンスを請け負ってくれる業者は不可欠です。
安いからと中古自販機を買ってきて設置したはいいが、すぐに故障して使えなくなったのでは大損です。
また、空き缶の回収や周辺の掃除などもオーナーさんが行わなければなりません。
放置しておくとゴミが集まったり、治安の悪化を招いたりする懸念もあり、釣銭を狙った“こじ開け強盗”のリスクもオーナーさんが負うことになります。
つまり、決して片手間でできることではないので、きちんとビジネスとして向き合うことができる地主さん以外は、土地のみ貸し出す方法で検討するのが無難でしょう。
自販機設置が向いている土地
自販機設置が向いている土地は、概ね以下のような条件を満たす場所です。
- 通勤通学などで多くの人が通る場所
- 近くに中学・高校・大学・専門学校などがあり、若者の流動人口が多い場所
- 近くにコンビニや小売店がない場所
- 公園やレジャー施設などの集客施設に近い場所
- 繁華街や商店街に近い場所
- マンションなど集合住宅に近い場所
- 会社などの事業所が多い場所
たとえ上記の条件を満たしていても、以下のような土地はあまり適さないと言われています。
- 通行量の少ない奥まった場所(通行人から見やすくなくては素通りされます)
- 突き当りや行き止まりの道(通行量が少ないので不利)
- 幹線道路など交通量が多すぎる場所(停車しにくいのでドライバー利用が減ります)
また、すでに多くの自販機が設置されているような場所では、自販機設置には適していても過当競争になる恐れがあるため、何らかの差別化策や、対処方法がないと難しい場合もあります。
自販機ビジネスを始めるには
所有地が自販機ビジネスに向いているかどうか判断がつかない場合は、まず自販機設置業者に相談するようにしましょう。
インターネットで検索すれば、多くの事業者が見つかるので、片っ端から相談してみればOKです。
業者は実際に土地を見て、収益性を含めた提案をしてくれるので、それを見て判断するのです。
ポイントは複数の事業者に相談すること。
それぞれの強みを生かした提案が出てくるので、比較検討して最も納得できた業者と契約するようにしましょう。
また、最初から自己運用を検討するのではなく、土地のみを貸して売り上げなどを確認し、高い収益性が見込めると判断できたら、自己運用に切り替える方が堅実かも知れません。
収益アップのポイント
自販機ビジネスは、敷地に余裕があるからと言ってやみくもに台数を増やしても、売り上げが伸びるものではありません。
利用者数が変わらなければ、1台で5000円上がっていた売り上げが、2台で5000円になるだけで、電気代が多くなる分むしろマイナスです。
では、どうすれば少しでも収益アップにつながるのか、いくつかの成功事例を見ていきましょう。
差別化を図る
同じような自販機が近隣に存在する場合は、自己運用で安さを武器にするのが最も効果的です。
しかし、土地のみを貸し出す場合には販売価格には口出しできないので、商品のラインナップを工夫して差別化できないか設置事業者に相談してみましょう。
また、最近はTポイントなどが貯まる自販機や抽選機能付き、方言をしゃべる自販機などもあり、新機能の話題性で勝負するのもひとつの方法です。
看板スペースとして活用
自販機は、基本的に通行人の目につきやすい場所に設置します。
従って、自販機ビジネスが成り立つ場所は、看板設置場所としても有効な場合が多いわけです。
そこで、自販機周辺の空きスペースを貸し看板スペースとして活用する方法も考えられます。
周囲の飲食店や塾、病院などに看板スペースとして貸し出せば、安定した副収入が見込まれます。
その他にも、自販機の上に、太陽光発電を設置するという方法もあります。
自販機設置にプラスして、複数の事業を取り入れる事で、確実に黒字経営とする方法もありますから、検討してみるのも良いでしょう。
自販機設置のその他のメリット
最後に、収益以外の自販機設置のメリットについて紹介しましょう。
防犯性
街灯のないような場所では自販機の明かりが防犯にも役立っていると言われます。
地域の犯罪防止に貢献することにつながります。
非常時の飲料水にも
最近の自販機はバッテリーを内蔵し、災害などで停電になっても商品提供が可能なものが出ています。非常時の飲料水備蓄基地になるわけです。
土地活用策としては最も手軽でリスクも少ない反面、収益性としてはあまり期待できないのが、自販機ビジネスです。
しかし、大きな収益を追い求めるだけが土地活用ではありません。収益性は低くても、地域の安全や安心に貢献できることも立派な土地活用策と言えるのではないでしょうか。