駐車場経営とは、車を駐車できるよう駐車区画割りし、 区画毎に賃貸する土地活用法を言います。
数ある土地活用の中でも特に低リスクなものとして知られています。
「借地借家法」の制定により、それまでの「借地法」と比べ、土地の所有者が安心して土地を貸し出せるような法整備がおこなわれました。
しかし、駐車場と一口に言ってもその種類は様々です。今回は駐車場経営に焦点を当て、詳しく見ていきましょう。
駐車場の種類別でみるメリットとデメリット
駐車場を大まかに分類すると「コインパーキング」「月極駐車場」「立体駐車場」のいずれかに分類することができますが、いずれもメリットやデメリット、向いている土地などは異なります。
コインパーキング経営のメリット
コインパーキングとは、駐車スペースを数十分~数日程度の短期間で貸す駐車場のことです。利用期間が短く、支払いがコイン(硬貨)だけで済むことが多いことから、このような呼び名がついています。
コインパーキングは一般的に、月極駐車場と比べて月間賃料が多くなりやすいとされています。もちろん、コインパーキングの魅力はそれだけではありません。
メリット1:月極駐車場よりも月間賃料が多くなりやすい
コインパーキングの一番のメリットは、月極駐車場よりも月間賃料が高くなりやすいことです。
具体的に計算してみましょう。例えば、東京駅周辺の土地の場合、コインパーキングの相場は1時間で500円~1000円程度(8時から22時の場合)、月極駐車場の相場は3万円~5万円ぐらいです。
仮にコインパーキングを1時間500円で貸し出すとします。貸出時間は8時から22時に限定します。
この場合、常に満車ならば、賃料は1日で500円×14時間=7000円、これが30日(1ヶ月)続けば、月間賃料は21万円です。
一方月極駐車場の月間賃料は3万円から5万円ですから、コインパーキングのほうが明らかに売上は大きくなります。
実際には常に満車というわけにも行かないでしょうが、仮に1日のうち半分の7時間しか稼働しなかったとしても月間賃料は10万5000円となり、やはり月極駐車場の月間賃料を大きく上回ります。
実際には多くのコインパーキングが1日辺りの金額に上限を設けていることが多いですが、それでもやはり月極駐車場の月間賃料を上回ることがほとんどです。
今回は東京駅周辺を例に出しましたが、東京23区外縁部のような郊外でも、あるいは大阪や名古屋、福岡のような地方の大都市でも、あるいはもっと田舎でも概ね同じ傾向があります。
稼働率さえ高ければ、大抵の場合コインパーキングのほうが儲かります。
メリット2:業者に経営を任せられる
コインパーキングの経営は、原則として管理業者に委託します。
管理会社はは賃料の回収や清掃と言った日常的な業務はもちろん、トラブル対応など緊急事態の対応も全て行ってくれるため、土地のオーナーはほぼ何もする必要はありません。
機器や看板などの設置費用も業者が負担してくれることが多く、その場合は非常に少ない自己資金で始めることができます。業者に払う手数料は通常、賃料の10%程度になります。
メリット3:一括借上システムで安定した収益が望める
一括借上システムとは、コインパーキングの運営会社がオーナーから土地を一括で刈り上げるシステムで、サブリース契約ということもあります。実質的には土地貸しです。
この契約を結んだ場合、管理会社に管理を委託した場合と違いオーナーは駐車場の売上に関係なく毎月一定の賃料収入をコインパーキングの運営業者から受け取ることができます。
ただ、一括借上システムは売上が伸びても自分の収入は増えないというデメリットもあります。稼働率が高くなりそうな土地を所有している場合は、一括借上システムは利用しないほうが良いかもしれません。
コインパーキング経営のデメリット
メリットが多いコインパーキング運営ですが、もちろんデメリットもあります。
デメリット1:価格競争が生まれやすい
コインパーキングの一番のデメリットは、価格競争に巻き込まれやすいところです。
コインパーキングの数は未だに不足気味とは言え、絶対数は年々増え続けています。特に都会の一等地はコインパーキングが密集しており、価格競争も激化しています。
利用者はよほどの理由がない限りはその地域一帯で最も安いコインパーキングを選びますから、近隣に安いコインパーキングがある場合は値下げ競争に乗らなければならないこともあります。
デメリット2:初期費用がかかることがある
初期費用は委託先の管理会社が支払ってくれるケースも多いですが、コインパーキング業者によっては、自己負担しなければならない場合もあります。
コインパーキングは月極駐車場と比べて必要な設備が多いためです。
デメリット3:ニーズが商業地に偏っている
コインパーキングのニーズは商業地に偏っています。住宅地に短時間自動車を止めたいというニーズは少ないからです。
無理やり住宅地にコインパーキングを作っても、稼働率は低迷するでしょう。住宅地にある土地を駐車場として活用したい場合は、月極駐車場を選んだほうがいいことが多いです。
月極駐車場経営のメリット
月極駐車場とは、駐車スペースを1ヶ月単位で貸し出す駐車場のことです。読み方は「つきぎめちゅうしゃじょう」です。
コインパーキングと月極駐車場は、同じ駐車場であってもそのメリットは全く別物です。
メリット1:稼働率が高くなりやすい
月極駐車場の一番のメリットは、稼働率が高くなりやすいことです。
コインパーキングは人が入れ代わり立ち代わり出入りするので稼働率が安定しづらいですが、月極駐車場は1度契約したお客さんはなかなか出ていかないため、稼働率が高いところで安定しやすいです。
メリット2:初期費用が少ない
月極駐車場は原則、コインパーキングのような設備が必要ありません。土地さえあればほとんど予算がなくても問題なく事業を開始できます。
ただしこれは平面駐車場の場合で、立体駐車場を作る場合は多額の費用がかかります。
メリット3:小規模な場合は管理委託をしないでも運営ができる
コインパーキングは人の出入りが非常に激しいため、基本的にはプロの管理会社に管理を任せる必要があります。
一方、月極駐車場は固定客以外は利用しないため、小規模な場合は管理会社を使わないでも問題なく運営することができます。
むろん、管理会社を雇わない場合は、トラブルに自分で対応しなければならないので相応の手間はかかりますが、その分管理手数料を節約できます。
メリット4:料金の未払いを防ぎやすい
月極駐車場は原則として料金は前払いなので、料金未払いが発生することはありません。
月極駐車場経営のデメリット
このようにメリットが多い月極駐車場運営ですが、もちろんデメリットもあります。ここでは月極駐車場運営の主なデメリットを3つ紹介します。
デメリット1:収益が少なくなりやすい
土地を平面に使う月極駐車場は、その上に建物を積み重ねていく立体駐車場やマンション経営、あるいは時間あたりの賃料が高くなりやすいコインパーキングと比較して、収益が少なくなりがちです。
収益が少ないぶん、リスクも少ないのが月極駐車場の特徴であるといえます。
デメリット2:狭小地が利用しづらい
コインパーキングの場合は時間あたりの賃料が高いので自動車が数台しか停車できないような狭小地でもある程度の収益を上げることができます。
一方、月極駐車場は賃料が低いため、ある程度の規模がなければ、ほとんど収益にはなりません。
デメリット3:違法駐車などのトラブルが多い
月極駐車場は違法駐車を防ぐ設備がないため、それらをどう防ぐかも重要になります。
立体駐車場経営のメリット
立体駐車場とは、建築物や機械装置などによって土地を立体的に使う駐車場のことです。大きく自走式と機械式に分けられます。
- 自走式:ユーザーが目的の階まで自動車を運転し、開いているスペースに止めるタイプの駐車場。
- 機械式:昇降機とパレットを用いて自動車を機械的に出し入れするタイプの駐車場。
両者のメリットは重なる部分もありますが、そうでない部分もあります。
メリット1:土地を縦方向に活用できるため、利回りが上がりやすい(自走式・機械式)
平面のコインパーキングや月極駐車場は土地を1層として使用するため、利回りの上限は低くなりがちです。
一方、立体駐車場は土地を複数の層として利用するため土地面積に対する駐車台数が多くなり、必然的に利回りが高くなります。規模が大きくなれば一人あたりの賃料を多少下げても問題なくなることが多いため、稼働率も比較的容易に挙げられます。
メリット2:規模が大きくなるほど利回りが上がりやすい(自走式)
自走式の立体駐車場のスペースは、大きく駐車スペースと車路に分けることができます。
そして、立体駐車場の規模が大きくなればなるほど車路の割合が小さくなり、その分駐車スペースの割合が大きくなります。駐車スペースが大きくなれば、その分多くの車を止められるようになるため、利回りが高くなります。
メリット3:同規模のアパートやマンションほど初期費用がかからない(自走式)
自走式の立体駐車場を建設する上で気になるのが駐車場の建設費用です。
しかし、立体駐車場はあくまで駐車場であるため、建設費用は同規模のマンションやアパートよりも安くなることが大半です。
メリット4:狭いスペースでも駐車台数を増やせる(機械式)
機械式の立体駐車場の一番のメリットは、狭いスペースでも貸し出せることです。
自走式の立体駐車場と違って大きな車路が必要なく、それでいて縦方向に駐車スペースを確保できるため、利回りは自走式とくらべて高くなります。
メリット5:防犯性能が優れている(機械式)
機械式の立体駐車場は自動車を機械の中に保管するため、非常に防犯性に優れています。防犯性を気にする人が多い地域では、機械式の立体駐車場がおすすめです。
立体駐車場経営のデメリット
このようにメリットが多い立体駐車場運営ですが、もちろんデメリットもあります。
デメリット1:初期費用が比較的大きい(自走式・機械式)
立体駐車場の最大のデメリットは、初期費用がかかることです。
自走式の場合はアパートやマンションよりは安いとは言え、建物部分を建設するには相応の費用がかかります。機械式の場合は機械設備を用意しなければならないため、やはり費用がかかります。
デメリット2:広い土地が必要になる(自走式)
自走式の立体駐車場を作るためには、かなり広い土地が必要になります。狭小地を自走式の立体駐車場にすることはまず不可能です。
デメリット3:更地にしづらい(自走式)
コインパーキングや月極駐車場などの平面的な駐車場経営のメリットに、「上に建物を建てないので、土地を更地にしやすく、土地の転用も簡単にできる」というものがあります。
しかし、自走式立体駐車場の場合は土地の上に大規模な建物を立ててしまうので、一度作ってしまうとそう簡単に事業から撤退できなくなってしまいます。
自走式立体駐車場を始める前には、かならず緻密な撤退しないで済む経営プランを立てておく必要があります。
デメリット4:賃料が低くなりやすい(機械式)
機械式駐車場は面積あたりの駐車台数が多くなるためオーナーにとっては有利な仕組みです。
しかし、機械を使って自動車を出し入れするのにかなり時間がかかるため、ユーザーにとってはあまり歓迎できない仕組みでもあります。
同じ地域に同じ賃料の自走式の駐車場と機械式の駐車場があったら、多くのユーザーはストレスなく使える自走式に流れるでしょう。
そのような中で稼働率を上げるためには、ある程度賃料を低く設定しなければなりません。
デメリット5:機械式が故障したり、停電したりすると使えなくなる(機械式)
見過ごされがちですが、機械式駐車場の機械は故障や停電など様々な事情で使用できなくなることがあります。使用できなくなれば当然その間賃料は生まれなくなりますし、何よりユーザーの不信感を招くことになります。
デメリット6:メンテナンスに多額の費用がかかる(機械式)
機械式駐車場の機械は非常にデリケートなものですから、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。メンテナンスにも当然お金がかかります。
自分の土地で駐車場経営が成り立つのか?
駐車場経営は基本的には低リスクなものが多いですが、当然全ての土地に適した活用方法ではありません。
また、同じ駐車場でもコインパーキングと月極駐車場と自走式の立体駐車場と機械式の立体駐車場、それぞれ適した土地は違います。
コインパーキングに適した土地の条件
コインパーキングに適した土地の条件としては、以下の様なものが挙げられます。
駅から非常に近い(概ね徒歩5分以内)
コインパーキング利用者は自動車を利用しているのだから駅からの距離はあまり関係ないのではと思われるかもしれません。
たしかにそれは間違いではないのですが、実際にはコインパーキングは原則として駅の近くでないと余り利益が出ません。コインパーキングが必要になるような商業施設は大抵の場合駅周辺に固まっているからです。
また、最寄り駅までは車で出て、目的地にはそこから電車で移動する、というユーザーも一定数存在します。それらの需要を考えると、駅から近い(5分以内)という条件はほぼ必須といえます。
近隣に集客施設が多数ある
集客施設が近くにあるエリアだとそれだけで車通りが多くなるため、必然的にコインパーキングの需要も安定します。
特にその集客施設の駐車場の数が十分でなく、いつも駐車場の空きを待つ自動車で道路が渋滞しているような場合は、その超過需要を吸収するような駐車場を作るだけで稼働率はぐんと高くなる可能性があります。
ただし、集客施設の数が1つ、もしくは少数というのはあまり良くありません。
その集客施設が駐車場を充実させたり、事業から撤退した場合に需要が大きく減ってしまうからです。多数の集客施設があれば、そのうちの一つが駐車場を増やしたり撤退したりしても大したダメージにはなりません。
車通りが1車線の道路に面している
複数車線の道路のほうが車通りが多く、その分コインパーキングの需要も多いのでは?と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。車線が多い道路は駐車場に入りにくいため、むしろ避けられる傾向があります。
だからといって、車通りが少ない土地がいいかというと、もちろんそんなことはありません。車通りは多く、なおかつ1車線というのがベストです。
2車線と接している(角地である)
コインパーキングはひっきりなしに車が入ったり出たりするので、出入り口付近で渋滞が発生しやすいです。
出入り口が離れた場所に複数作れ、渋滞が分散できる2車線に接した土地(角地)はコインパーキング向きの土地であるといえるでしょう。
月極駐車場に適した土地の条件
月極駐車場に適した土地の条件としては、以下の様なものが挙げられます。
住戸数が多い住宅地の中にある
月極駐車場の主な顧客は、自宅に駐車場スペースはないが自動車を所有している人たちです。
とくに大規模なマンションは住戸数に対して駐車場の割合が少ないことが多く、そうした人たちの需要を狙うのが基本戦術となります。
100m2強程度の面積がある
コインパーキングは時間単価が高いので狭小地でも問題なく始めることができますが、月極駐車場は時間単価が低いため、狭小地ではほとんど利益が上がりません。最低でも5台程度を駐車できるスペースはほしいところです。
1台あたりの駐車スペースは概ね23m2(車路含む)ですので、必要な面積は23×5=115m2ということになります。これより小さい場合は、コインパーキングやその他の活用法を考えたほうがいいかもしれません。
立体駐車場に適した土地の条件
立体駐車場に適した土地の条件としては、以下の様なものが挙げられます。
1000m2程度の面積がある(自走式)
自走式の立体駐車場はかなり広い車路が必要になるため、非常に広い面積がないとまともに経営が成り立ちません。どれくらいあればいいのか、と言うのは難しいところですが、概ね1000m2あるとスペースにも余裕ができ、経営効率が良くなると言われています。
300m2程度の面積がある(機械式)
機械式の立体駐車場は機械で自走車を上下させるぶん、面積は小さくても成り立ちますが、そう入ってもある程度の面積は必要です。概ね300m2あると経営効率が良くなります。
大きな集客施設が多数ある(自走式・機械式)
立体駐車場の長所は、土地面積に対する駐車台数が多いところですが、いくら駐車台数を増やしてもそれに見合った需要がなければ全く意味がなく、宝の持ち腐れになってしまいます。
多い駐車台数に見合った需要が生まれる地域は、大きな集客施設が多数ある地域の真ん中です。
それぞれの土地条件が分かったところで、実際の収支を見ていこう。
駐車場経営における収支予測
自己所有の土地で駐車場経営を行う場合は、利回りという概念ではなく毎年手元にいくら残るか(純利益)で収支予測を立てたほうがいいでしょう。
駐車場経営で得られる純利益は、賃料から運営委託費などの経費を引き、さらに各種税金を引いたものです。
中でも大きくなりやすいのが固定資産税・都市計画税です。
この2つの税金は土地の評価額が高くなるほど負担も大きくなるため、大きな土地、都心の一等地の土地を使う場合は特に注意が必要です。事前に終始シミュレーションをしっかり行いましょう。
税金の観点から見た駐車場経営
駐車場を運営する上では、様々な税金がかかります。
使いすぎて税金が払えなくなった、キャッシュフローを見誤ったという事態に陥らないためにも、必ず駐車場経営でかかる税金は把握しておきましょう。
所得税の計算方法
所得税とは、個人の1年間(1月1日~12月31日)の課税所得(所得=収入-経費-所得控除)に対してかかる税金です。
一定以上の所得がある人ならばサラリーマン、公務員、経営者、個人事業主の誰もが払っているものです。日本を含めた多くの国は累進課税制度を採用しており、所得が増えるほど税率も上がる仕組みになっています。計算方法は以下のとおりです。
※所得税=課税所得×税率-控除額
課税所得 | 税率 | 控除額 |
~195万円以下 | 5% | 0円 |
195万~330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万~695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万~900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万~1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万~4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
4000万円~ | 45% | 479万6000円 |
例えば、課税所得が500万円の場合、税率は20%、控除額は42万7500円なので、
所得税=500万円×20%-42万7500円=57万2500円
となります。
サラリーマンや公務員として働いている場合は通常、所得税の計算は会社側が自動にやってくれる上、天引きまでしてくれるので個人が何かする必要はありません。
しかし、駐車場経営を始め、その所得が20万円を超えている場合は、原則として自分で確定申告をする必要があります。
なお、サラリーマンや公務員として得る給料は「給与所得」、個人事業主や経営者として得る所得(駐車場経営を含む)は「事業所得」として区別されます。
所得税を節税する方法
所得税は前述の通り、課税所得に対してかかる税金です。課税所得は収入から経費と所得控除を差し引いたものなので、収入が同じならば経費や所得控除が大きくなるほど少なくなります。
まずは経費についてです。経費とは、事業のために使った費用のことです。例えば土地を舗装したり、設備を購入したりするために使った費用は経費として計上されます。
経費を正確に計算、申告することによって、課税所得を減らすことができます。
経費を経費として認めてもらうためには、領収書をきちんと保管しておく必要があります。ファイルなどにきちんと整理しておきましょう。
次に所得控除に関してです。所得控除とは、特定の条件を満たす人(税負担能力が低い人)の課税所得を差し引く制度です。
例えば、独身で所得(収入-経費)が500万円の人と、専業主婦の配偶者がいて所得が500万円の人では、所得は同じでも税負担能力は差があります。そのため、より税負担能力が低い後者は、配偶者控除というシステムによって課税所得を少なくすることができます。
所得控除は全部で14種類あります。その中でも特に重要で適用される人が多いのが配偶者控除と配偶者特別控除、扶養控除です。
配偶者の所得が38万円以下の場合は配偶者控除を、38万円~76万円の場合は配偶者特別控除を受けることができます。また、扶養親族がいる場合は、扶養控除を受けられます。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税は、不動産などの固定資産にかかる税金のことです。ある年の1月1日時点の所有者が、1年分の納税義務者となります。
固定資産税はすべての固定資産に、都市計画税は市街化区域内にある固定資産に対してかかります。それぞれ以下の計算式に基づいて計算します。
- 固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%
- 都市計画税額=固定資産税評価額×0.3%(地域によってはさらに低い場合あり)
したがって、駐車場が市街化区域内にある場合は固定資産税評価額の1.7%、そうでない場合は固定資産税評価額の1.4%が毎年徴収されることになります。
固定資産税評価額は、固定資産税を計算するために設定される固定資産の評価額です。詳しい計算方法は省きますが、概ね実勢価格の70%程度になることが多いです。
相続税
相続税とは、人から人へ(原則として故人から生人へ)財産を受け渡すときに発生する税金です。
駐車場を経営していた人が亡くなった場合、その駐車場は財産とみなされ、それを相続する権利がある人が受け継ぎます。、
相続税はごく一部の富裕層にしか関係ないものであると考えられがちですが、それは間違いです。相続税は少額の財産の相続しか発生しない場合でも必ずその額を確認しなければなりません。
相続税は所得税と同じく累進課税制度を採用しており、相続する財産の額が多いほど税率が高くなります。相続税額の計算方法は以下のとおりです。
相続税額=課税遺産総額×税率-控除額
課税遺産総額=相続純資産-基礎控除
相続純資産=相続する資産の評価額-相続する負債の評価額
基礎控除=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
課税遺産総額 | 税率 | 基礎控除 |
~1000万円以下 | 10% | 0円 |
1000万円~3000万円以下 | 15% | 50万円 |
3000万円~5000万円以下 | 20% | 200万円 |
5000万円~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円~2億円以下 | 40% | 1700万円 |
2億円~3億円以下 | 45% | 2700万円 |
3億円~6億円~ | 50% | 4200万円 |
6億円~ | 55% | 7200万円 |
例えば、相続する財産の総額が1億円、相続する負債の総額が3000万円、法定相続人が3人の場合、
相続純資産=1億円-3000万円=7000万円
基礎控除=3000万円×(600万円×3人)=4800万円
課税遺産総額=7000万円-4800万円=2200万円
相続税額=2200万円×15%-50万円=280万円
法律(民法)で、相続する人たちは、この人が一番適していると定められている人たちのことです。配偶者はどのようなことがあっても必ず法定相続人になれます。ただし、必ず正式な婚姻関係(役所に婚姻届を出している)が必要になります。
内縁関係の配偶者はたとえ30年間一緒に暮らしていたとしても法定相続人にはなれません。
また、子供、父母、兄弟は、場合によっては法定相続人になれます。
子供がいる場合は子供が、子供はいないが父母がいる場合は父母が、子供も父母もいないが兄弟がいる場合は兄弟が法定相続人になります。
なので例えばその亡くなった人に配偶者と子供がいた場合、父母や兄弟は法定相続人にはなれません。
相続では資産(プラスの財産)だけでなく、負債(マイナスの財産)も一緒に相続しなければなりません。
例えば2億円の預金と3億円の負債を持つ人が亡くなった場合、相続をすると差し引き1億円のマイナスになってしまいます。これを相続するのが嫌な場合は、相続放棄という手続きをしなければなりません。
相続における駐車場の評価額
駐車場を相続する場合、その評価額は自用地として評価されます。
自用地とは読んで字のごとく、自分で利用する土地です。駐車場経営は人に土地を貸す商売ではありますが、駐車場の場合は例外的に自用地とみなしてしまうのです。
いわゆる砂利敷の青空駐車場の場合、駐車場の評価額は路線価方式や倍率方式によって計算されます。計算方法は省略しますが、この方法だと相続税が高くなりがちです。
一方、アスファルト舗装の駐車場や立体駐車場の場合、その駐車場が構造物として扱われるため、相続税を安く抑えることができます。
具体的には「小規模宅地等の特例」という特例が利用でき、最大で評価額が50%安くなります。評価額が安くなれば課税遺産総額も少なくなるので、税額が減る、というわけですね。
相続税評価はやや複雑ですので、税理士などの専門家に相談するのがベストです。
タイムズの土地活用プラン
タイムズは全国に約1万5000の駐車場を展開する、駐車場経営のナンバーワン企業です。
タイムズはコインパーキング、月極駐車場のどちらにも対応しています。コインパーキングの場合は土地を貸すだけですが、月極駐車場の場合はサブリース契約と管理委託契約、仲介業務契約があります。
タイムズの3つの契約方法
1つめ:サブリース契約
サブリース契約とは、その土地をタイムズが一括で借り受けて、その土地を活用してタイムズがすべての駐車場経営を行うという契約です。オーナーはタイムズから毎月一定の金額の賃料を貰い受けます。
タイムズがその土地の活用に成功しようが失敗しようが一定の金額の賃料が入ってくるというのが大きなメリットですが、一方でいくら稼働率が上がっても賃料が上がらないというデメリットもあります。
2つめ:管理委託契約
管理委託契約とは、駐車場の経営で発生する管理業務全般をタイムズが受託するという契約です。
駐車場の清掃、駐車場内でのトラブルの解決、賃料の回収などはすべてタイムズが行います。オーナーは駐車場の利用客から賃料を貰い受けて、その中から管理委託報酬を支払います。
管理委託方式だと、稼働率次第で毎月の収入が変動するためややリスクは高いですが、稼働率が高くなればサブリース契約よりも自分の取り分は増えることが多いです。
3つめ:仲介業務契約
仲介業務契約とは、タイムズがウェブサイトや雑誌などのメディア(広告媒体)で駐車場を宣伝する契約です。せっかく作った駐車場も知ってもらえなければ利用されませんが、この契約を結べばより多くのユーザーに駐車場を認知してもらえます。駐車場の管理業務はオーナーが自ら行います。
3つの契約の中では最も安価に行える反面、駐車場の管理を自分で行わなければならないため、本業の傍らにやるのには向いていません。
タイムズの駐車場経営のここが良い!
タイムズネットワークは全国に約1万5000物駐車場を展開しています。多くの土地所有者がタイムズでの土地活用を選んでいるのです。そこには選ばれるワケがあります。
独自ネットワークで万全な管理を実現
タイムズは独自ネットワークシステムTONICで安心・安全・確実な駐車場の管理を行っています。
TONICとは全国のタイムズ駐車場と情報センターをオンラインで結ぶシステムです。情報センターには絶えず入庫時間・出庫時間、稼働台数などのデータが常に集積されています。
その集積されたデータをもとに管理を効率化したり、マーケティングをしたりできます。
また、クレジットカードや各種交通系ICカードでの生産、タイムズクラブカード(入会費・年会費無料のカード)やタイムズビジネスカード(法人向けの売掛決済カード)によって顧客を囲い混むことも可能です。
最適な駐車場提案
土地は持っているけれど、その土地が本当に駐車場に適しているのか、あるいはコインパーキングと月極駐車場のどちらがいいのかわからない、という方も多いかと思います。
タイムズは駐車場設計を専門とする一級建築事務所を要しているため、適切な駐車場を提案してもらえるので、自分で運用方法を決める場合と比べて、成功率が格段に上がります。
短期契約も可能
タイムズの契約は原則として2年契約ですが、状況に応じてそれよりも短期間で契約することも可能です。例えば1年間だけ駐車場経営を行い、その後は別の方法で活用すると行った予定にも柔軟に対応してもらえますので、まずは相談してみてください。
駐車場経営をする時の注意点
最後に、駐車場経営をする上で、抑えて置かなければならない注意点を幾つか書き出しておきたいと思います。
単純な収益性はアパート経営やマンション経営よりも低い
駐車場経営は平面の月極駐車場やコインパーキングならば、非常に少ない初期投資で始められるのが大きな魅力です。
しかし、純粋な収益性、最終的な純利益はアパート経営やマンション経営などの賃貸住宅よりも少なくなるケースが大半です。
駐車場経営は土地活用としては投資額が少ない分、ローリスクローリターンなものであり、リスクを負ってもより多いリターンを追い求めたい場合は、別の活用方法を検討した方がいいでしょう。
税制上のメリットが少ない
土地を住宅用地として使用する場合、固定資産税が実質6分の1になるという特例があります。
一方、駐車場経営にはこれと言った税制メリットがありません。
そのため、税引前当期利益がプラスになっても、固定資産税がかさんで最終的な純利益はマイナスになることがたまにあります。固定資産税の軽減を優先させるのならば、駐車場ではなくアパートやマンション用地としたほうが良いかもしれません。
周辺の駐車場の賃料相場を知っておく
駐車場経営をする場合、必ず確認して置かなければならないのが周辺にある別の駐車場の賃料相場です。
この相場よりも明らかに高い価格をつけてしまうとお客さんが集まりません。逆に明らかに低い価格をつけてしまうと、際限のない価格引き下げ競争が始まってしまいます。
必ず賃料相場に沿った賃料を設定するようにしましょう。
駐車スペースを狭くしすぎない
駐車場経営で初心者がやりがちな失敗が、駐車台数を1代でも多くするために1台あたりの駐車スペースを狭くしすぎるというものです。駐車スペースが狭いと自動車同士の衝突なども発生しやすくなりますし、ユーザーにも忌避されます。
駐車スペースをケチって1台や2台多く停められるようになったところで、ほとんどメリットはありません。それよりもユーザーの使いやすさを重視して、稼働率を上げるべきです。
管理委託契約を結ぶ場合は、管理会社のサービスをきちんと比較して選ぶ
サブリース契約の場合は稼働率がどうなろうが賃料は一定なため、そこまで管理会社の質に拘る必要はありません(もちろん、きちんと管理してくれる会社を選ぶに越したことはありません)。
しかし、管理委託契約の場合は管理会社のサービスの質がそのまま賃料に響くため、よりきちんと選定する必要があります。
管理会社の管理体制を確認したい場合は、その管理会社が管理する他の駐車場を見に行くのが一番手っ取り早く確実です。その駐車場にゴミが散らかっていたり、清潔感がなかったりする場合は、その管理会社は避けたほうがいいでしょう。
出口戦略を考えておく
駐車場経営に限った話ではありませんが、土地活用では出口戦略が非常に重要になります。駐車場経営を長く続けるのか、ある程度続けたらアパートやマンションに転用するのか、あるいは土地を売却するのか、などを予め考えておきましょう。