土地活用プランナーが教える土地活用

土地活用の杜

土地活用の種類

土地活用としての、老人ホーム・介護施設経営の意外な落とし穴

クマ
土地活用として介護施設を作りたいと考えているのだけれど、施設によってどんな違いがあるの?

ミミズク
民間の施設には様々な種類があるよ!早速チェックしてみよう!

土地活用としての介護施設の種類

老人ホームなどの高齢者向け介護施設には、大きく公的施設と民間施設があります。公的施設は、地方公共団体や社会福祉法人、医療法人等でないと建築できないため、ここでは地主さんも建築可能な民間施設について解説します。
民間施設には下表のような種類があり、総量規制の有無や必要な延べ床面積がそれぞれ違ってきます。

?介護施設の種類総重量規制必要建物延床面積
民間施設介護付き有料老人ホーム600坪程度~
(約2000㎡~)
住宅型有料老人ホーム600坪程度~
(約2000㎡~)
健康型有料老人ホーム600坪程度~
(約2000㎡~)
サービス付き高齢者住宅600坪程度~
(約2000㎡~)
通所介護(デイサービス)
※小規模の場合
70坪程度~
(約230㎡~)
短期入所生活介護(ショートステイ)200坪程度~
(約660㎡~)
小規模多機能型居宅介護150坪程度~
(約500㎡~)
認知症対応型生活介護(グループホーム)150坪程度
(約500㎡~)

※平成28年4月時点

総量規制とは

民間施設でも「介護付き有料老人ホーム」や「小規模多機能型居宅介護施設」「グループホーム」「デイサービス」(一定規模以上)などの場合は、介護保険の給付対象となります。
つまり、都道府県や市町村等の地域の自治体が利用料金の9割を負担する仕組みになっているため、自治体による総量規制の対象になっているのです。
総量規制の対象になっている施設を建設するにあたっては、まず自治体に問い合わせ、募集状況などを確認する必要があります。介護施設が足りている自治体では、募集を全く行っていない場合もあるからです。

必要建物延床面積とは

適切な介護サービスを提供するには、一定の広さを確保する必要があります。
それが各施設の必要建物延床面積です。
実際には事業者ごとに違いがありますが、これを目安として、所有地での建築可能な容積率(役所に問い合わせると計算して教えてくれます)から算出した数値が、この延床面積に充分に収まっていることが必要です。

次に、高齢者向け賃貸住宅や、特別養護老人ホームなど、各施設の特徴を簡単に見ていきましょう。

クマ
たくさんの民間施設があるんだね。1つ1つの民間施設をもっと詳しく教えて!

ミミズク
施設の種類をしっかりと調べた上で検討しよう!

介護施設の種類

介護付き有料老人ホーム(総量規制あり)

介護が必要な高齢者の介護や医療上のサポートリハビリなどを行う居住施設で「介護専用型」(要介護1以上の方が入居可能)と、「混合型」(要介護認定をされていない方でも入居可能)があります。
自治体から介護保険の「特定施設入居者介護」の指定を受けることで、介護保険の給付が受けられるため、入居者の負担が軽く、人気があります。
従って、介護事業者も安定した一括賃貸経営が期待でき、地主さんとしても安心です。

住宅型有料老人ホーム(総量規制なし)

食事サービスと緊急時の対応等の日常生活支援を備えた有料老人ホームであり、高齢者専用賃貸住宅となります。
介護スタッフを常駐させる必要はなく、外部の訪問介護を利用するケースが多いようです。
介護機能がない(外部の訪問介護などを利用)ため、利用者はある程度限られます。

健康型有料老人ホーム(総量規制なし)

介護の必要のない、文字通り健康な高齢者向けの老人ホーム。介護が必要になったら、介護機能を持った老人ホームなどに移る必要があるため、入居者はかなり限定されます。
健康型だけでなく介護機能を備えた施設も併せて建設するといった視点も大切でしょう。

サービス付高齢者向け住宅(サ高住)(総量規制なし)

バリアフリーなどの施設条件を満たし安否確認や生活相談などのサービス条件を満たした、高齢者向けの「賃貸住宅
自治体の登録を受けると「サ高住」として、建設費補助や税制優遇、融資支援などの助成が受けられる高齢者住宅となります。
介護スタッフを置かない健康型有料老人ホームのようなものから、介護スタッフを置いた介護付き有料老人ホームのようなものまでさまざまなタイプが可能です。
サービス付き高齢者向け住宅事業は、非常に人気が高い土地活用の1つとなります。

通所介護(デイサービス)(小規模デイサービスは総量規制あり)

自宅で介護を受けている方が「日帰り」で入浴や食事などの介護サービスを受けるための施設。
要支援・要介護認定を受けている高齢者の約8割が自宅で介護を受けている現状において、非常にニーズの高い施設です。
定員18名以下の「小規模デイサービス」は総量規制の対象となります。

短期入所者生活介護(ショートスティ)(総量規制なし)

自宅で介護を受けている方が「最大で連続30日間入所」できる施設。
食事や入浴、排せつなどの介護が比較的手軽な費用で利用できます(利用者負担は1~2割)。

小規模多機能型居宅介護(総量規制あり)

自宅での訪問介護を中心に、デイサービスやショートステイなどを組み合わせて様々な介護サービスを行う施設。

認知症対応型生活介護(総量規制あり)

認知症の高齢者を対象にした施設で、少人数で共同生活を送りながら、介護サービスや機能訓練、レクリエーションなどを受けます。

(文章を読んだだけでは各施設の違いはなかなか理解できないでしょうから、まずは所有地のある自治体に問い合わせてみたり、高齢者住宅財団へ相談したり、生活相談サービスなどを利用するのもお勧めです。実際の介護施設を見学してみたりするのも良いでしょう)

狙い目は総量規制のある施設

総量規制のある施設の場合、ハードルが高いイメージから諦めがちですが、実は地主さんにとっては狙い目です。
建ててしまえば、総量規制に守られてライバル施設が登場しにくいからです。

また、介護保険を利用できるため利用者の人気が高く、それだけ運営事業者は安定経営ができることになります。
ひいては地主さんも安定した賃料収入が期待できるため、まずは総量規制のある施設で可能性を探ってみることがポイントです。

クマ
介護施設の種類がわかってきたよ!介護施設の建設をすることでどんなメリットがあるの?

ミミズク
メリットがどの位あるのかは非常に重要な事だよね。早速チェックしてみよう!

介護施設経営のメリット

高齢化社会を迎え、800万人とも言われる”団塊の世代“が70代に差し掛かり、高齢者人口が非常に増え、高齢社会として膨大な介護需要が発生する時代が目前に迫っています。
当然のことながら土地活用としての介護施設経営は、注目される事業のひとつです。社会貢献性もありますし、住宅事業としても収益を見込めると言われています。

まずは、介護施設経営者としてのメリットを見ていきましょう。

収益性が高い

一般の賃貸住宅経営に比べれば高い収益性が期待できます。
例えば、介護保険適用(利用者負担1割)で、月に1人10万円の利用料は、100万円の利用料が事業者に入ることを意味します。
1日当たり3万円余りということになりますから、ちょっとした高級旅館並みです。
それがほぼ100%の稼働率で回るわけですから、事業としては超優良です。
地主さんとしては超優良事業者に土地・建物を貸し出すことになるので、これ以上の好案件はあまりないでしょう。

交通の便や生活施設集積度の影響が小さい

交通の便が悪かったり、周囲に生活施設がなかったりしても、あまり影響はありません
騒音の少ない、自然豊かな環境の方が好まれる場合も多く、賃貸住宅には向かない立地でも充分可能性があります。

まとまった大きさの土地の活用に適している

賃貸住宅や店舗用地としては広すぎる(大きな建物を作っても需要が見込めない)土地の場合、介護施設は有効な選択肢のひとつです。
駐車場を含め、広い土地が必要なので、まさにうってつけ。
健康な高齢者向けの施設のほか、介護機能を備えた複数の施設を併設すれば、介護度に合わせた幅広い受け皿になることができ、経営上のリスクヘッジにもなります。

その他、施設によっては補助金や税の優遇などの助成や総量規制に守られる他、住居系施設なら相続税や固定資産税の優遇が受けられるといったメリットもあります。

クマ
こんなにメリットがあるならすぐにでも土地活用として取り入れたいな!でもデメリットもあるんでしょ?

ミミズク
メリットとデメリットの両方を知って失敗とならないような土地活用にしよう!

介護施設経営のデメリット(注意点)

このように、土地活用策としてのメリットがいっぱいの介護施設経営ですが、注意点もあります。
介護施設経営のメリットばかりを強調し、土地活用をあおるサイトや業者も少なくありませんが、投資規模が大きくなるため、慎重な判断が必要なのは言うまでもありません。

高齢化のピークは2040年=20年ちょっとで市場が縮小

最大のリスクは、将来介護市場の急激な縮小が予測されること。
日本の高齢化のピークは、2040年で3868万人と推定されています。
これは、今から20年ちょっとで高齢者が減っていくことを意味します。「20年以上も市場が拡大するのなら有望じゃないか」、そう考える地主さんもいるかも知れませんが、そうとは言い切れません。
「山高ければ谷深し」とも言います。急激な介護需要の増大(団塊の世代の介護突入)は、数年後、急激な介護需要の減少を招き、入居率が減少する事が懸念されます。
ピークに合わせて増えていった介護施設は、たちまち需給バランスを崩し経営悪化に陥る可能性は否定できません
運営事業者が苦境に陥れば、当然地主さんも大きな影響を受けます。
さらに言えば、需要が供給を下回った場合、古い施設から空きが出てきます。
もしも今、介護施設を建設した場合、20年後にはそれなりに老朽化が始まっています。
そうなると、ますます利用者が集まりにくくなり、経営悪化に拍車をかける事態も懸念されます。

介護業界は、需要の縮小が待ち受けている極めて特殊な市場であることをしっかり押さえておきましょう。

投資規模が大きい=返済期間が長い

介護施設には広い床面積が必要なので、建物は大きくなりがち。
当然、投資規模も億単位になる場合が多く、返済期間も長くなってきます。
つまり、長期ローンの返済途中に介護人口の減少という荒海に飛び込むこともあるわけです。
土地活用にとって、20年は決して長いものではなく、ローンの返済期間中である可能性は充分にあり得ます。

できるだけ融資額を抑え、返済期間を短縮した事業計画を立案しておくことが重要です。

転用性が低い=次の借り手が見つからない

介護のための特殊な施設のため、万が一運営事業者が中途解約した場合、他の用途への転用は困難です。
次の借り手が見つからなければ、ローンの返済だけが残るという事態も心配されるのです。
少しでもそのリスクを軽減するには、運営事業者との契約内容に「中途解約ペナルティ条項」を入れておくことも必要です。

事業者が見つかりにくい=介護事業者を見つけられるかがカギ

介護施設を運営するには、そもそも介護に精通した運営事業者が見つからないと事業化は困難です。
しかし、そのような事業者の数は限られており「運営事業者が見つかるかどうか」が、土地活用策として介護施設経営ができるかどうかの最大のカギになってきます。
2040年に近づくに従って、慎重になる介護事業者が増えてくると予測されるので、始めるなら早い方が有利かも知れません。
ただし、早く始めれば2040年には老朽施設になるジレンマもあります。
これらの問題を解決するポイントは、やはり融資額を抑え、完済時期を少しでも早くしておくことと言えるでしょう。

このように、介護施設経営には大きなリスクが潜んでいることは意外と知られていません。
事業者の中には、建物の受注だけが目的で、将来のリスクには触れない場合もあるので、必ず複数の業者に相談し、実績と信頼のある業者と計画を進めることが必要です。

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