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地主さんが知っておくべき行政代執行の基本

シカ
行政代執行って何?行政代執行になると、建物があっても勝手に解体されちゃうって聞いたんだけれど、どういう事なの?

ウサギ
特定空家と認定されたままにすると、空き家対策特別処置法によって壊されてしまう事もあるんだよ。今回の記事では、行政代執行について、詳しく見ていこう!

行政代執行とは


「行政代執行」とは、国や行政機関が「行政的な義務を果たさない人に代わって、行政機関が撤去・排除などを行う」ことです。

全国的に報道された事例としては、九州のみかん農家に対する福岡県の行政代執行があります。
これは、東九州自動車道建設に反対し、16年間にわたって土地の明け渡しを拒んできたみかん農家に対して執行されたもので、約1.5haの”私有地“が高速道路用地として強制収用されたのです。
私有地が、公権力によって強制的に召し上げられたわけですから、理不尽に感じる地主さんも多いと思います。
しかし当時、北九州市―宮崎市間の東九州自動車道はほぼ開通していたにもかかわらず、みかん農家の所有地で寸断される形になっていたのです。
これが全線開通となれば、高速道路利用者の利便性は飛躍的に向上し、地域の経済や福祉にも大きな利益となります。
そこで、多数の利益(公益)のために、個人の権利(土地の明け渡し拒否)を制限したのが、行政代執行というわけです。

要するに、公益性が極めて高い案件については、地主といえども公権力に抗えない仕組みが用意されているわけで、地主さんとしては行政代執行の最低限の基礎知識は身につけておく必要があります。

行政代執行の要件


シカ
行政代執行はいきなり行われる事になるの?

ウサギ
行政代執行の要件に満たしていなければ、建物が解体されてしまうようなことはないんだよ!

とはいうものの、個人の権利をいわば“超法規的”に制限するわけですから、行政代執行を行うには以下のような「要件」を満たすことが求められています。

<行政代執行の要件>

  1. 命じた行為が「代替的作為義務」であること
    ※詳細は後述
  2. 義務の不履行があること
  3. 他の手段(事前に行政指導など)によって履行を確保するのが困難であること
  4. その不履行を放置することが著しく公益に反すること

この4要件を満たす場合に限って、抑制的に執行されるのが原則となっています。

あくまでも公益にとって重大な悪影響をもたらしているにも関わらず、本来の義務者が義務を履行せず、他に方法がない場合に限って代執行が認められるわけです。
しかも、それが「代替的作為義務」である場合に限って命令できるというのが基本原則となっています。

代替的作為義務とは

作為義務というのは「何かをしなければならない義務」で、立ち退きや建物の撤去などがその具体例です。
反対に不作為義務は「何かをしてはならない義務」で、業務停止などが代表例。

「代替的不作為義務」とは、“本来の義務者に代わって、しなければならない義務を果たす”ことを意味し、実際には次のように運用されています。

<行政代執行できない事例>

  • 公営住宅の明け渡し
    明け渡し自体は作為義務ながら、公営住宅を退去した場合、他の住宅に入居するのが困難である恐れがあるため「代替性がない」と判断される
  • 飲食店に対する営業停止
    営業停止は「不作為義務」にあたるので、代執行は難しい

<行政代執行が可能な事例>

  • 事業者に対する施設の改善義務
    営業を継続する上での改善なので作為義務であり、代替性もある
  • 違法建築物の除去義務
    違法建築物の撤去は作為義務であり、代替性もある

このように、実際には法律にのっとり厳格な判断が行われており、公益のためだからと言って個人の権利をむやみに侵害しないよう、配慮がなされているのが現状です。

行政代執行の費用負担

シカ
行政で必要であると判断されて解体されるわけだから、かかる費用は行政が負担するんだよね?

ウサギ
かかった費用は、所有者が負担する事になるんだよ。支払いは拒否することができないから、注意しよう!

行政代執行が行われた場合の費用は、いったい誰が負担するのでしょうか?
答えは「本来義務を果たすべき人」に請求されます。

例えば、空き家を行政代執行によって撤去された場合、その解体工事費用は解体業者に一旦行政が支払い、その後、空き家所有者負担として請求される仕組みになっているのです。

所有者が頼んでもいないのに、行政が勝手に撤去した費用を負担させられることに抵抗を感じる方もいるかも知れません。
しかし、抵抗しても無駄です。
国税を滞納した場合同様、まずは督促状が届き、それを無視していると差し押さえの予告が届きます。
それも無視していると、財産が調査され、財産があれば差し押さえられ、強制的に徴収されてしまうのです。

所有者が不明の場合

空き家の中には、不動産所有者が不明な場合も少なからずあります。
所有者不在であっても、固定資産税の支払いをしているはずですから、固定資産課税台帳や登記簿を確認すれば所有者はわかりますが、その所有者がどこに住んでいるのか、わからない場合も少なくありません。

そのような場合でも、空き家が老朽化して危険であったり不衛生であったりすれば、行政代執行に踏み切る場合があります。
費用については、所有者がどうしても見つからなければ、行政が負担するケースも出てくるようです。

所有者が死亡している場合

所有者が既に死亡している場合は、所有者の戸籍を調べて相続人を特定し、誰が相続したのかを調べることになります。
もしも相続人が誰なのかが変わらない場合は、代執行に要した費用は行政が負担することになるようです。
また、相続人が相続を放棄した場合にも同様に費用は行政がかぶることになるようです。

行政代執行の恐れがある空き家の活用策

シカ
空家等対策特別措置法により、行政代執行が行われそうな不動産を保有している場合には、どんな土地活用がお勧めかな?

ウサギ
空き家対策特措法に当てはまる不動産であっても、対象不動産を改善できるように、駐車場や太陽発電など、様々な土地活用策を考えてみよう!

地主さんにとって、行政代執行の恐れが高いのは空き家を所有している場合でしょう。
「空き家特別対策措置法」によって、公益上有害な「特定空き家」に指定された後、改善命令を聞かないと、行政代執行によって解体され、その解体費用が主有者である地主さんに請求される可能性が高まっているのです。

空き家対策特別措置法」の関連記事はこちら

空き家法により、行政代執行で撤去された場合、所有地によっては土地活用の方法が大幅に制限される恐れがあるので注意が必要です。
例えば「旗竿地」のような、再建築ができない土地では、一旦更地になってからでは建物の建築ができなくなります。
そのような土地に空き家を所有している場合は、早めにリノベーションなどで建物を再生して賃貸住宅などとして活用する方法を模索するのが賢明な方法と言えるでしょう。
もしも、賃貸住宅や貸店舗などへの活用が難しい場合は、次のような方法も考えられます。

駐車場・バイク用駐輪場

所有地が都市部の住宅地など、駐車場需要が見込まれる場所なら空き家を解体し、駐車場やバイク用駐輪場に活用する方法が考えられます。
比較的小さな投資で済むのも魅力です。

トランクルーム事業

所有地が住宅地もしくは住宅地に近い場所なら、トランクルーム事業も有望です。
空き家を撤去し、家庭用の物置のようなトランクルームを並べるだけなので、それほど大きな投資は必要ありません
管理の手間やコストもほとんどかからないため、周囲に収納スペース需要が見込まれる場所なら安定した収益性も期待できます。

自販機設置

ある程度の人通りがある場所なら、自販機設置も有望な選択肢です。
飲料メーカーなどに相談すれば、自販機の設置から商品補充、代金回収、空き缶回収・清掃まで、一切を代行してもらえます。
地主さんは電気代を負担するだけで、売り上げの中から一定の利益が毎月振り込まれることになります。
所有地の前の流動人口が多く、しかもコンビニなどが近くにないような立地がベストです。

太陽光発電事業

所有地が住宅密集地でない場合は、太陽光発電事業が考えられます。
空き家の場合、送電線が来ている状態ですので事業化が容易です。
道路も整備され、宅地なら平坦なので工事がしやすいのも利点です。
周囲に住宅が多いと反射などで近隣住民とトラブルになる場合もあるので、あまり住宅が密集していない場所の方がお奨めです。

 

空き家はいつまでも放置しておくことが許されない時代です。
行政代執行が行われる前に、有効な土地活用策を模索することが、地主さんには求められます。

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