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耕作放棄地と土地活用への影響

シカ
耕作放棄地ってどんな土地の事を呼ぶの?

クマ
放置されている農地の事を呼ぶんだよ!今回の記事では、耕作放棄地について、詳しく解説するよ!

耕作放棄地とは


「耕作放棄地」とは、耕作可能な農地でありながら1年以上耕作されず、今後も耕作の意思がない土地のことを呼びます

2005年の農林業センサスによる調査ですでに、約40万ha(東京都の面積の2倍近く)もの莫大な農地が利用されることなく放置されている状態です。

似たような言葉で「遊休農地」(現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地)「荒廃農地」(現に耕作されておらず、耕作の放棄によって荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地)などがありますが、大きな違いはありません。

ここでは、利用されることのない農地全般を耕作放棄地として解説して行きます。

耕作放棄地が発生する理由

耕作放棄地が発生する背景として最も大きいのは、農業で生計を立てることの難しさが挙げられます。
昔は米を作っていれば、小規模な農業経営者でもある程度の収入を確保できましたが、米の買い取り価格が低下した現在では子育てに充分な収益を確保するのは困難となっています。

また、農業は天候ひとつで収入がゼロになってしまうリスクもある不安定な仕事でもあります。
このため、農家を継がせようと考える親は少なく、安定した仕事に就けるよう、都市部の専門学校や大学に進学させる農家が大半なのです(そしてそのまま都市部で就職し家庭を持ってしまう)。
この結果、農村に後継者はいなくなり、現役農家の高齢化とともに耕作を放棄せざるを得なくなった農地が全国で増えているわけです。

耕作放棄地の問題点

シカ
耕作放棄地は、どんな問題があるのかな?

クマ
農地が放置されている事で、周囲に迷惑をかけてしまったり、野菜などの生産が減り、食料自給率が少なくなる事で、食の安全にも影響を与えてしまう事になるんだよ!

耕作放棄地には雑草が生え、その種が飛んで周囲の田畑に迷惑を掛けるようになります
また、ネズミやイノシシなどの格好のえさ場となるため、これも周辺の田畑に悪影響や、被害をもたらします。
その他、農地には洪水を調整したり、土砂崩れを防止したりする環境保全効果もありますが、耕作放棄地が増えればそのような機能も失われ国土の荒廃にもつながりかねません。
もちろん、食糧の生産量が減れば、食糧自給率が低下し、食の安全や食料安全保障の面でも致命的な影響をもたらしかねません

その他の問題点としては、農業生態系は農業活動を行う事で、鳥獣などの生物多様性が維持されているという点です。生態系管理のためには、耕作放棄地のままにしておくのではなく、積極的な農業活動が必要であると農村計画学会で発表されています。

このように極めて大きな弊害が懸念される耕作放棄地問題に対し、集積化を目指し、国は様々な対策を講じ始めているのは事実です。

中には、再生事業として、市民農園としての有効利用や太陽光発電事業などの再生利用の取り組みを進めている人もいますが、残念ながら抜本的解決には至っていないのが現状で、水が低い場所に流れるのと同様、再生作業をおこなっても、耕作放棄地の拡大や解消は容易に止めることは難しく、耕作放棄地の利用率は、横ばい傾向となっています。

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農地以外の土地への影響

シカ
農地が減って、人口が都心部に集中すると、どんなことが起こるの?

クマ
人口が全くいないような土地の所有者は、土地の価値がなくなってしまうから注意が必要だよ!

ここで注意してほしいのは、耕作放棄地問題は、農地を所有している地主さんだけの問題ではないという点です。

農地は、原則として農業以外には使えません。
つまり、住宅や工場、ビル建設などに適した平坦地であっても、そこが農地であれば、そのまま住宅や工場を建てることはできない利用制限のある土地となります。
この結果、住宅や工場建設が可能な平坦地は希少価値が高くなり、これが日本の地価を下支えしてきたとも言えるわけです。

仮に、農地でも自由に住宅などを建てることが可能になれば、日本中の地価が大暴落するのは必至でしょう。
そうなれば、経済も崩壊してしまうので、そのような政策がとられることはあり得ませんが、耕作放棄地が増えていくことは、農地以外の土地を所有する地主さんにも大きな影響を及ぼす可能性があります。

具体的に見ていきましょう。

農村の消滅

耕作放棄地が多いのは、中山間部などの条件の厳しい農村となります。
耕作放棄地が増えてしまう原因としては、大規模化や機械化には限界があるため、農業だけで生計を立てるのは難しく、必然的に若い世代は農村から都市部へ流出してしまうためです。
その結果、集落には農業者としての後継者がいなくなり、農業従事者の高齢化とともに耕作を放棄せざるを得ない状態に追い込まれてしまうという状況になるのです。
このような地域では、限界集落化が進み、今後20年程度で「消滅」することさえ避けられない見込みです。

また、機械化が可能な場所でも、数人の若手で集落全体の農地を耕作するようになり、結局農村の人口は減少し、それに伴い学校や店舗、病院などの生活機能も失われて行きます。
そのような場所では農家は都市部に住み、都市部から通って農業を営むようになるでしょう。

つまり、機械化が可能で、耕作放棄地が増えていないような場所でも、今後コミュニティの崩壊は避けられないわけです。

農業を基盤とする集落が消滅していけば、市町村運営にも多大な影響が予想されます。
ある統計では、2040年ごろには日本中の自治体のおよそ半分(約900自治体)が消滅するとの指摘もあるほど。
もしも、自治体消滅ともなれば、その地域に所有する土地は無価値になってしまう恐れすらあります。

従って、そのような恐れのある地域(農村や、農村を背景にした市町村)に土地を所有する地主さんは、少しでも早く売却を検討する事が重要になってきます。

中核都市への人口集中

自治体が半数になった場合、人々は仕事や生活の質を求めて都市部へ集中するようになるのは確実でしょう。
容易に引っ越せない高齢者は別ですが、10代から20代は迷うことなく都市部へ集まるようになるはず。
そして、その親が農村に住み続ける場合、実家に比較的近い都市に出る割合が高いことから、三大都市圏にだけ人口集中するのではなく、政令指定都市(20都市)など中核都市が人口を増やして行くと予想されます。
従って、そのような都市ではアパート・マンションなどの賃貸住宅や、貸店舗、テナントビルなどの需要が拡大していく可能性が高く、土地活用には面白い市場となってきます。
三大都市圏では地価が高値安定しているため、三大都市圏以外の中核都市に土地を購入するのは、地主さんにとって大きなチャンスと言えるかもしれません。

都市部の農地がなくなる?2022年問題

シカ
2022年問題って何?

クマ
生産緑地法の解除となるのが、2022年となるんだよ。生産緑地法の解除による影響を、詳しく説明するね!

耕作放棄地問題とは違いますが、もうひとつ農地が地価に大きな影響をもたらしかねない問題が横たわっています。
「2022年問題」とも言われる「生産緑地」の問題です。

現在の生産緑地法は、都市部に緑地を残すことを目的に1992年に始まったもの。
三大都市圏などで生産緑地の指定を受けると、営農を条件に固定資産税や相続税で手厚い優遇が受けられるという制度です。
指定から30年で解除されるのが原則で、現在の生産緑地の8割が1992年の指定されていることから、その30年後の2022年に向けて莫大な農地が不動産市場に放出されるのではないかと、大問題になっているのです。
何しろ、三大都市圏の生産緑地だけで1万3000haというスケールです。
そのわずか数%が不動産市場に放出されただけで、地価の暴落は避けられそうもありません

もちろん国や自治体も、農業委員会を発足し、補助金などの交付金の交付など、都市農地の大量放出阻止に向けた取り組みを強化していくと見られますが、生産緑地の指定解除ともなれば、固定資産税が宅地並みに跳ね上がる可能性があり、これを持ちこたえられる地主さんは少ないでしょう。

条件が緩和されても農地であるには営農は義務付けられるはずなので、後継者のいない地主さんは土地を手放さざるを得ません。
結果としてある程度の土地が放出されるのは避けられないと見るのが自然です。

実際、地主の死亡や営農が困難な時、公共施設をつくる場合などには特例的に解除できる仕組みを利用して、高齢者福祉施設などの建設や管理をする事例も増えてきており、2022年問題はすでに始まっていると指摘する専門家もいます。
従って、三大都市圏などに土地を所有する地主さんは、今後思わぬ地価下落もあり得ることを念頭に、より安全で有利な土地活用を検討しておくことが重要になってきます。

三大都市圏だからという“土地神話”にいつまでも胡坐をかいていると、思わぬ落とし穴に転落する危険性もあるのです。

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