土地活用プランナーが教える土地活用

土地活用の杜

土地活用の基礎知識

地主が考えるべきこれからの土地活用

ウサギ
土地活用は長い目で見て活用法を考えるのが大切って聞いたんだ。だけど、今儲けていれば問題ないよね?今後の事はまた先に考えれば良いんじゃないの?

シカ
土地活用を始める場合、ある程度の初期投資や資金が必要となるから、今だけ儲けていても、数十年先に赤字になってしまっては、選んだ土地活用の方法を後悔してしまうかもしれないよ。

ウサギ
だって先の事なんて、誰にもわからないでしょ?

シカ
だからこそ、数十年後も視野に入れた土地活用が大切となってくるんだよ!一度建設してしまうと、やめるにしても、解体工事費用がかかってしまったり、新たな資金が必要となってしまう事になるから、土地を保有している事が、リスクとなってしまう事がないような、土地活用を考える事が大切だよ!

土地活用を進める上で地主さんが考えるべき事


土地活用を考える上で、最も重要な視点は、30年、40年後を見通すこと。

つまり、当初10年間がどんなに好調でも、10年目以降赤字に転落したのでは、それ以降の20年~30年間は地獄を見ることにもなりかねないからです。
実はこれまでの住宅系を始めとした不動産環境は、極めて安定していて、投資した時点と30年、40年後はそれほど変わらない収益性があるという恵まれた環境が維持されていました。

少なくとも地価が極端に値下がりしたり、賃貸・売却ともに需要が供給を大きく下回ったりする心配は殆どありませんでした。

このため、地主さんは30年、40年という長期間にわたって安定収入が得られ、円滑なローン返済とキャッシュフローの獲得を実現できていたのです。

 

ところが、ここ数年で潮目は大きく変わってしまいました。

日本の人口が減少に転じ、特に賃貸需要家の10代、20代人口が極端に減ってきています
10代、20代が減っているのですから次の世代の人口減少も確定したようなものです。
さらに、急増する住宅地の空き家問題や、都市部への人口集中(中小市町村の過疎化・限界集落化)、都市農地の大量放出なども土地の需給バランスを破壊する恐れがあります。

また、通信技術やAIの進化、働き方改革なども、これまでのライフスタイルを根底から変えてしまうインパクトを秘めています。

これらの大転換の波は、今後次々と襲ってきます。

 

今後、30年、40年という時間軸の中では、地主さんにとって“致命傷”にもなりかねないマイナスインパクトをもたらす可能性が大きいと言わざるを得ません。
未来を正確に予測することは不可能ですが、今後懸念される、土地活用への負の影響をいくつか挙げてみましょう。

賃貸住宅経営

アパート・マンション

アパートや賃貸用マンションの入居者は10代~30代半ばまでの単身者が中心です。

この世代の人口が今後も減少していくので、日本全体としての市場規模は年々縮小していく「シュリンク業界」(斜陽産業と同義)になると予想されます。

その一方で、相続税対策でアパートを建てる地主さんがここのところ急増し、過剰供給による空室と家賃下落のダブルパンチに見舞わる地域が、すでに広がっています。

今後も、若者の人口流出が止まらない中小の市町村では、アパマン経営は厳しい経営にさらされる懸念は大です。

仮に今現在は好調なアパートが多かったとしても“30年、40年後も大丈夫なのか”という、冷静な視点を持つことが地主さんには求められます。

 

一方、若者の流入が好調な都市部(政令指定都市など)に所有地がある地主さんも安心はできません。

東京などには、狭く、古く、風呂なし・共同トイレというアパートもまだまだ存在しています。

しかし、これからは需要が徐々に減って行き、このような条件の悪いアパートから順に借り手が見つからなくなると見られます。

若者の多い都市部でも、駅近、築浅、風呂トイレ別のアパートでないと、借り手に見向きもされない可能性が高まっていくと思われるのです。

そういう意味では、建物にはしっかりとお金をかけ、質を高める姿勢が重要になってくるわけですが、かといって過度な投資も危です。

つまり、今後は宅地や空き家が大量に放出されていくことが予想され、一戸建てや分譲マンションが手に入りやすくなると見られるからです。

地方都市では、3LDK~4LDKの一戸建てが3000万円内外、分譲マンションも2000万円前後で手に入ります。
この場合、住宅ローンはボーナス払いなしでも6万円~10万円前後なので、これに引きずられて家賃相場も大きく下落するのは避けられません。

東京都内でここまでマイホーム価格が落ちる可能性は低いと思われますが、それでも地価は需給バランスで決まるものだけに“絶対にありえない”と言えません。

 

首都直下地震のような天災もあり得ることを考えると、多額のローンに頼った事業計画は、できるだけ避ける姿勢が重要です。

戸建賃貸

少子化によって一人っ子同士が結婚すると、いずれ双方の親の実家を相続することになります。

少なくとも1戸は不要になるので、固定資産税や空き家の維持費問題を解消する意味でも土地活用を考えるケースが増えるでしょう。

 

その時の選択肢の一つに「戸建賃貸」としての活用が考えられます。

アパートよりも投資が抑えられ、駅から多少遠くても借り手が見つけやすいことから、実家の土地を活用するのに適した方法だからです。

小さな子供のいる家庭などでは騒音などの気兼ねが要らない戸建賃貸には高い人気があり、実際の供給量が少ないこともあって、募集すればすぐに借り手が見つかるという状況が続いています。

しかしこれも、戸建賃貸が大量に供給されることになれば、現在のような超貸し手市場ではなくなります

戸建賃貸の場合、アパートと違って入居者が退去すれば家賃収入はゼロになります。
次の入居者がなかなか見つからなければ、収入ゼロの期間が続き、ローンの返済分が家計からの持ち出しになるのです。

 

従って、今後は戸建賃貸市場も厳しくなることを念頭に、無理な投資はできるだけ避ける姿勢が求められます。

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貸し店舗・オフィスビル経営

貸店舗

貸店舗経営が成り立つ基盤は、豊富な人口流入がある場所。

駅周辺やオフィス街、繁華街、幹線道路のロードサイドなどは、大量の流入・流動人口があるからこそ、お店が成り立ち、貸店舗が継続的に利用されるわけです。

ところが、現在豊富な人口流入のあるような立地も、今後30年、40年と同様の人口流入を維持できるかは疑問と言わざるを得ません。

一つは可処分所得の低下による影響。

20代・30代は非正規社員の割合が高く、使えるお金が限られます。

実際、外で飲まずに家で飲む〝イエノミ“派が増えており、アルコールの消費量は減っていないのに、繁華街の売り上げは減少傾向にあると言われています。

 

さらに、通販や出前(デリバリー)の仕組みが進化し、外出せずに楽しむライフスタイルはますます浸透するでしょう。

労働さえも、自宅や自宅近くのサテライトオフィスでこなせるようになってきているので、人の移動は今後どんどん少なくなる可能性があります。

その方が時間やコストの節約になり、犯罪防止や地球環境などの面でもメリットが多いからです。
人の移動が減れば、流入・流動人口も減ります。

するとお店が立ち行かなくなり、貸店舗の需要も低下する懸念があるのです。

オフィスビル

今後、AIやロボットが人間の仕事をどんどん奪っていくことが予想されています。

特にこれからはホワイトカラーと呼ばれるオフィスワーカーの大半が仕事を奪われると警鐘を鳴らす専門家もいるのです。

クレーム処理などもAIが対応する研究が進んでいるそうです。

会社経営に成功し、従業員が増えたとしても、何百人、何千人という社員が一つのオフィスに机を並べる必要性はなくなるのは間違いないでしょう。

そうなると、オフィスビル経営に激震が走るのは避けられません。

医療・福祉施設経営

病院・クリニック

医療の分野では「地域連携」が進められ、総合病院と地域の病院・クリニック(かかりつけ医)のすみ分けが進んでいます。

地主さんとしては地域の個人医療機関向けの土地活用案件が増えると見られますが、これも今後30年、40年という時間軸で考えた時に安泰とは言えません。

人口ボリュームが大きい団塊の世代はすでに70歳に差し掛かっています。

この世代は医療需要も多いので、向こう10年ぐらいは個人医療機関も賑わうでしょうが、それ以降は徐々に患者数が減っていく懸念があるのです。

福祉施設

団塊の世代を含む、高齢者人口の増加を見込んで、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などが盛んに建設されています。

このような施設の建設に地主さんが乗り出す場合、数千万円から数億円という投資になるはずです。

しかし、今後10年~20年は安泰かも知れませんが、30年後、40年後も計画通りの利用者が見込まれる保証はありません

万が一見込んだ利用者が集まらなくなれば事業者の撤退も考えられ、地主さんには多額の負債だけが残る可能性もあるのです。

20年後には高齢者人口も減り始めることも念頭に、リスクのない定期借地権で土地活用するにとどめるという視点も大切かも知れません。

 

ウサギ
取り入れる土地活用の方法によって、数十年後のリスクは変わってくるんだね。その土地の将来性を見極めるためにはどうすれば良いの?

シカ
現在保有している土地の状態や、周辺環境がどのように変わっていくのか、予測を立ててみる事で、土地活用策を考えてみよう。

所有地の将来性の見極め方


今後日本の土地は、次のように3つに分類されると指摘する専門家がいます。

  1. 値上がりもしくは価値を維持する土地(10~15%程度)
  2. 価値を下げ続ける土地(70%程度)
  3. 無価値になる土地(15~20%程度)

Aの値上がりもしくは価値を維持する土地というのは、東京などの大都市にある環境に恵まれた優良地。

Cの無価値になる土地というのは、地盤が悪い、洪水や崖崩れの恐れがある土地や、低地、限界集落にある土地など。

Bはそれ以外の土地で、簡単に言えば“大都市の優良地以外の土地は今後、価値を下げていく”という指摘です。

 

つまり、所有地がどんな環境にあるかによって、土地の将来性や、評価額は今後大きく変わり、その対策も違ってきます

 

具体的に見ていきましょう。

値上がりもしくは価値を維持する土地の場合

若者を中心に人口流入が続いている、もしくは横ばいという地域で、しかも駅から近く、生活施設が整っているという土地がこれにあたります。(ただし、地盤が悪い、洪水やがけ崩れの恐れがある、旗竿地や狭小地など建築に制限があるような土地では、たとえ都市部の人気エリアでも価格下落の可能性は大です)
このような優良地では、アパートやマンションなどの集合住宅での賃貸経営を検討するのが鉄則でしょう。

どのような時代になっても駅に近い便利な場所に住みたいという人々は一定数見込めるので、リスクはあまりありません。

しかも、集合住宅なら複数の借り手に貸すので、家賃収入がゼロになる心配がなく、安定経営が期待できます。

 

注意点としては、広さや質を高めつつ、過度な投資は慎むこと。

どんなに金融機関が買い出し枠を提示しても必要最低限にとどめることが重要です。

価値を下げ続ける土地の場合

北海道であれば札幌、東北であれば仙台のように、広域から人口を吸引できる中核都市を除き、すべて市町村の地価は下がり続けると考える必要があります。

このような場所に土地を所有しているなら、できるだけ早く売却し、都市部の優良地に買い替えることを検討すべきです。

土地の値下がり傾向が明らかになれば、買い手は決して契約を急ぎません。

時間を掛ければ掛けるほど、地価は下がり、より有利な土地が出てくる可能性もあるからです。

 

そうなってからでは、いいように買いたたかれる恐れが出てくるので、可能な限り素早く処分することが重要になって来ます。

例えば、借地借家法を取り入れた場合、20年間土地借地人として貸し出し、1000万円の借地代が入るとしても、20年で土地の価値が1000万円以上下がったのでは何にもなりません。

それよりも、今すぐ売却した代金で都市部に優良地を購入し、アパート経営などを20年続けた方が、資産価値は目減りせず(場合によっては値上がりすることも)、事業収入も数千万円は見込めるはずなのです。

無価値になる土地の場合

買い手がつかなくなる心配のある土地もまた、一刻も早く売却を検討すべきでしょう。
そのような土地に、発電パネルを設置し、太陽光発電を取り入れたり、駐車場経営を取り入れるような方法もありますが、太陽光発電の場合には、10年後にも、同じ価格で売電できるとは限りませんし、駐車場経営の場合には、あまり大きな利益を上げる事は難しいと言われています。

そのため、所有していても保有コストがかさむだけで、利益を生む可能性が見込めないので、子や孫に引き継いでも決して喜ばれません。

いわば、“問題の先送り”でしかないので、仮に先祖代々受け継いできた土地であっても、思い切って「損切り」してしまうのも、子孫のためには賢明な判断ではないでしょうか。

 

 

このように、これからの土地活用では、今までの常識やセオリーは一旦捨ててかかることが必要になります。

当然、心掛けるべきポイントや注意点もこれまでとは変わってきます。

具体的には以下の記事をご参照ください。

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